効率の良い練習方法について【改】


この写真は今年の夏、銀閣寺前のバス停を下りた所から撮ったものです。
京都RAG音楽義塾は、今、北白川(スタジオラグ北白川店)に在って来年から河原町(スタジオラグ河原町店)に移転しますが、この写真を撮った日は午後から自由参加カウンセリングという授業の受け持ちの日でした。
私はこの日、効率の良い練習方法についての話をしました。

まず最初に断っておきます。
今から書くことは、あくまで壁にぶつかった時や、練習時にうまくいかない時、どうすれば効率良く練習を進められるか、ということで、決して日々の努力や基礎練習を怠ってもいいという話ではありません。
なので、特に初心者は毎日集中力を保って練習してください。
日々出来ることが増えて行くのは楽しい筈です。
ミュージシャンが職業になって来ると、個人の練習をする時間がきちんと取れなくなることが多いですし、私はクラシカルなレッスンを受けていないので、例えばピアノレッスンだと標準だと思う年齢、3歳からピアノをやっている人とはピアノを弾いて来た時間が圧倒的に少ないので、どうしても効率が良くないといけない。
そういう必死な実体験から出て来た答えみたいなものに裏付けがあったことを今から話します。

私は幼少の頃数ヶ月ピアノを習っただけで、その後きちんとしたピアノ教育を受けていません。
高卒とともに、当時京都にあったANコンテンポラリーミュージックというジャズスクールへ行きましたが、スクールと言っても週1回ピアノ2コマ、理論1コマの数時間だけというとてもコンパクトな授業数で、内容はジャズピアノをブルースからやるんですが、ピアノのテクニックに関しての授業は一切なかったので自分で練習するしかなく、ハノンという指の訓練のピアノ教本があることを知ったのが高校生の時創刊されたキーボードマガジンだったので、それからそういったことを独りでやり始めテクニック的なことは相当苦労しました。
で、必死にハノンを練習しても誰もチェックしてくれる人がいないし、そもそもそのやり方があっているのかどうかもわからない状況で、ただガムシャラに力いっぱい鍵盤を叩いていたのが懐かしいんですが、なかなか指が動くようにはならないジレンマをずっと抱えていました。

それから少し経って、少しずつ仕事やバンド等のライブが増えるようになり、それらの準備に時間を使わなければならないので、毎日基礎練習する時間が必然的に減ります。
そうです、プロとして活動を始めると練習時間が思うように取れなくなる場合があるんです。
そして、ある期日までに弾かなくてはならない曲のある部分がなかなか弾けなくて練習をするんですが、どうしても完璧には出来ないといったことが続いたりします。
更に、楽器に全く触れない環境に数日いることもあったりするとたいてい不安になるんですが、久しぶりにピアノを弾くと弾けなかったことが案外やすやすと弾けるようになっているという不思議な現象を何度か経験します。
スポーツの世界では昔からよく言われて知っていましたが、休養ということは大事なんだ、練習を休むことによって身体に覚え込ませる時間が必要なんだと漠然と感じました。

更に時は過ぎて、ただのガムシャラだった頃から、練習方法を自分なりに考えながらやれるようになった頃、うまく弾けない難しい曲を練習するのに、超スローテンポで弾き(当然メトロノームに合わせながら)そのフレーズを細分化していってどこが問題の部分なのかを突き止めてから(ただの2音になることもあるし、実は出来ないその部分ではなくその前後が問題になっている場合もある)、そこだけ取出して練習し、スムーズになったら繋げて弾いて、出来たら徐々にテンポを速くしていくけれど、なかなか指定のテンポまで上げられない。
時間は限られているので、とりあえず正確に弾けるテンポまでやって置いておき、また別の日、たいてい翌日はスケジュールの都合で無理なので数日空けて弾くと、あれだけ苦労していた部分がスラスラ弾けるようになっている、といったことを経験します。
その頃には、練習には休みというか、間を空けるということがとても大切なんだということが確信になっています。

そんなある日、テレビや雑誌で脳科学やスポーツを扱っている記事や番組を見ると、私が思っている『間を空ける』ということの効果が脳科学的に説明されていて、実際スポーツの分野では当り前になっていることを知ります。
つまり、人間は成功体験の積み重ねで上達するということと、成功体験を積み重ねるためには成功を脳に記憶させなければならなくて、記憶はメカニズム的に短期〜中期を経て長期記憶へと格納され、脳が身体に信号を送れるようになるということがスポーツの分野では常識になっていることを知ります。

で、最初に戻ると、その日生徒さん達に、大雑把に上記の説明をして、とにかく練習はゆっくりから始めて出来ないところがあればそこだけを取出し、何故出来ないかどうすれば出来るようになるかを考えてやり、出来るようになったら徐々にテンポを上げていく。
その際に大事なのは、出来たらその時点ですぐその課題をやめて(たとえ予定の時間が余ったとしても)、しばらくそれはやらないことと、集中してやること、集中力がキープ出来る長さはせいぜい1時間ぐらいなので適切な休憩を取りながらやること。
と、いったことを話しました。
普通、楽器でもなんでも「とにかく反復練習を沢山やる!」というのが、一般的には当り前みたいになっているので、きっとおかしなことを言う人だと思われたり、中には練習嫌いの人は練習は短くてもいいしあんまりやらなくてもいいんだと勘違いする人もいた気がしますが。

私が独りでこんなことを言っても「またまた、島田が持論を展開してるわ」と思われるだけなので、ネットで検索してみると、きちんとわかりやすく、私が上に書いてあるより更に詳しく書かれている記事を見付けたので、とりあえずリンクを貼っておきます。

「「頭を使え!」名門音楽大学教授による効率よく能力を高める練習法とは?」
(名門というところがミソだなあと思います。私が書いたこれを読んでも半信半疑な人の方が絶対多いから)
https://www.lifehacker.jp/2012/09/120925betterpractice.html

「短期間で劇的に上達する練習法とは?(1/3)」
(こちらはスポーツが例で、練習法が具体的です。音楽にも通じる面白い記事なので、是非3まで読んでください)
http://ho-sekkotsu.main.jp/blog/%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6/%E8%A8%98%E6%86%B6%E3%81%AE%E5%B9%B2%E6%B8%89%E7%B7%A8/

経験上、ガムシャラに練習しているミュージシャンにこういうことを言うと、たいがい半切れで反論されたり練習しない言い訳みたいに思われます。
実際練習は嫌いなので、あまり言わないようにしています(笑)。
真面目な話、練習をやり過ぎると逆効果ということは実際にあって、出来ない部分に苦手意識が芽生え固定化される、つまり間違った記憶が植え付けられると、それを上書きするのは結構至難の技です。
人間は、神経細胞が繋がり電気が通れるよになって始めて脳が身体を操れるようになるので、間違った記憶は間違った運動しか出来なくなるので、良くないのです。

最後に追記しますが、反復練習は悪いことじゃないですし、例えば実際の現場での自信をつけるためや、精度を上げて行くためには、かなり重要なことだと思います。
とにかく、最善の方法を考えながら練習することがとても大切で、最終的には自分の身になる近道になるんだと思います。
特にピアノという楽器は基本的なことを修得するのに、かなりの時間を必要とするので、尚更『良い練習』をするのが大切ですね。

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